ASRを保管した際の性質について

シュレッダーダストには保管した際に自然発火する性質を有しています。そこで、火災を防止するための参考になればと思いJAMA(日本自動車工業会)の研究報告書からシュレッダーダストの自然発火研究の要旨をご案内させて頂きます。報告書では固化ダストを主体に検討されていますが、固化前のシュレッダーダストについても固化ダストと同様に自然発火の危険性があると記載されていることから、同様に取り扱っていただきますよう、お願いいたします。
今後とも、ASRを含むシュレッダーダストの性質を良く理解され、取り扱いには十分ご注意をして頂けるよう宜しくお願いいたします。

要 旨

  1. シュレッダーダスト(含む固化物)の自然発火現象
    1. (1)ASRは自己発熱性があり、極めて蓄熱性が高く、また比較的低温(150℃程度)で自己発熱する物質が含まれる。
    2. (2)さらにダスト温度が約200℃に達すると自己発熱反応は急激に促進され、発火に至る。
    3. (3)ダスト温度が約230℃になると高濃度(爆発限界)の水素ガスが検出される。
    4. (4)以上から自然発火は、自己発熱と内部発生の水素ガスによる燃焼と判断される。
  2. シュレッダーダスト(含む固化物)の自然発火への対策
    1. (1)ダスト堆積高さとダスト温度は下記を参考として発火温度以下に管理する。
      • ダストの堆積高さが増加するとともに発火危険性が増大する。
      • ダスト堆積高さ3m ─ ダスト温度約80℃で自己発熱反応で発火に至る。
      • ダスト堆積高さ5m ─ ダスト温度約50℃で自己発熱反応で発火に至る。
      • ダスト堆積高さ7m ─ ダスト温度が外気温程度で自己発熱反応で発火に至る。
    2. (2)ダストを大量に堆積する時は、ダスト内部温度を常時監視する。
    3. ※:堆積したダストは圧縮され発火危険度が増大するため、ダストを長期に保管せず古いものから処理するか撹拌を徹底しダスト内部温度の上昇を防ぐことが必要です。

  3. 備 考

    自然発火以外では破砕機で発火する火花やベルトコンベアーの摩擦熱による引火出火の危険性も指摘されています。

    対策

    1. (1)粉砕機ハンマ周辺に堆積したダストを随時清掃する。
    2. (2)スチールタイヤ等粉砕しにくいものは分別前に取り除く(特にスチールタイヤの場合、粉砕されないとハンマがスチールコードをたたき続けて火花が発生する)。